テロ発生時のツアー キャンセル料金(JTB、HIS、近畿日本ツーリスト、阪急交通社)

旅行ノウハウ

あい続くテロの影響で、申し込みをしたパックツアーをキャンセルしたいという方も多いと思います。命には代えられないものですが、支払ったツアー代金のキャンセル料が無料なのか有償なのか気になるところだと思います。テロ発生時のキャンセル料について大手旅行代理店(JTB、エイチ・アイ・エス(HIS)、近畿日本ツーリスト、阪急交通社など)について調査した結果をご紹介します。

原則は規定のツアー キャンセル料金が発生

キャンセル料金に関しては、旅行業約款で規定されています。詳細は下で説明していますが、結論としては、「ツアー催行会社(旅行代理店)が自主的にツアーを中止した場合を除き、規定のキャンセルは有料で規定のキャンセル料金を支払う必要がある」ことになりそうです。飛行機が欠航、空港などが破壊されツアーが催行できない状態になり、

パッケージツアー キャンセル料金に関する事例

・2015年11月13日に発生したフランス パリの同時多発テロでは、直後はツアーが催行できなかったため全額免除になりました。一方、JTBや近畿日本ツーリストは11月26日出発分のツアーから、キャンセル料の全額免除を取りやめました。これは、休業していた観光施設などが再開されたからとの判断からです。この発表はテロ発生の約10日後の24日に行われています。 
・2016年3月22日に発生したベルギー ブリュッセルのテロの事例では、空港が爆破されたため、航空会社が運航便を全休しました。そのため、ツアーが催行できずJTBなど旅行会社は、催行を中止し全額を返金しました。一方、エイチ・アイ・エス空港は、空港復旧し運行便が再開した後は、すぐに通常のキャンセル料を収受する方針を出しています(臨機応変の対応をするとも表明)。
・2017年8月に発生したスペイン バルセロナのテロでは、直後からサグラダ・ファミリアなども通常通り観光が可能なため、無料でのキャンセルを受け付けるケースはなかったようです。

上記の事例から言えることは、旅行会社がキャンセル料を無料にするかは、テロの危険性ではなく、実際にツアーを催行できるか、で判断されるようです。

テロ発生時のツアーキャンセル料金に関する旅行業約款

パッケージツアーの旅行業約款は国土交通省が発行する標準旅行業約款に準じて各旅行代理店が規定しています。国土交通省 標準旅行業約款のテロ発生時に関連するキャンセル料金の規定に関する下記の通りです。

第四章 契約の解除
(旅行者の解除権)
第十六条 旅行者は、いつでも別表第一に定める取消料を当社に支払って募集型企画旅行契約を解除することができます。通信契約を解除する場合にあっては、当社は、提携会社のカードにより所定の伝票への旅行者の署名なくして取消料の支払いを受けます。
 2 旅行者は、次に掲げる場合において、前項の規定にかかわらず、旅行開始前に取消料を支払うことなく募集型企画旅行契約を解除することができます。
  三 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。

実際、JTB、エイチ・アイ・エスなど大手旅行代理店の旅行業約款を調べてみました。

JTBの場合 ⇒ JTB 旅行業約款(募集型企画旅行契約の部)

第4章 契約の解除 (旅行者の解除権)
第16条 2 旅行者は、次に掲げる場合において、前項の規定にかかわらず、旅行開始前に取消料を支払うことなく募集型企画旅行契約を解除することができます。
(3)天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。

エイチ・アイ・エスの場合⇒エイチ・アイ・エス 旅行業約款(募集型企画旅行契約の部)

第四章 契約の解除 (旅行者の解除権)
第十六条
 2 旅行者は、次に掲げる場合において、前項の規定にかかわらず、旅行開始前に取消料を支払うことなく募集型企画旅行契約を解除することができます。
  三 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。

  
どちらも国土交通省 標準旅行業約款と同じ記述になっています。近畿日本ツーリスト(旅行業約款)、阪急交通社(旅行業約款)についても調査しましたが、同じ内容でした。
 
「三 ・・・暴動・・・等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。」が具体的にどのような場合に、判断されるかがポイントになります。

一般的には、外務省が発表する「海外安全情報」において下記のレベルが3~4の場合に上記を満たすと判断されるようです。

レベル1 十分注意してください=旅行の安全かつ円滑な実施は不可能ではない
レベル2 不要不急の渡航は止めてください=ケースバイケース
レベル3 渡航はやめてください(渡航中止勧告)=旅行の安全かつ円滑な実施は不可能
レベル4 退避してください(退避勧告)=旅行の安全かつ円滑な実施は不可能

現在(2017年8月)のヨーロッパ各国のレベルですが、ほとんどの国で危険情報はでていません(ウクライナ、ロシアなどでレベル1)。危険情報の詳細はこちらで確認してください。

したがって、上記規定に基づいてキャンセル料が無料になるケースはないと判断するのが良いと思います。

以上、テロ発生時のツアーキャセルについて調査した結果を解説しました。海外旅行の代金は高額なのでキャンセル料金の支払いはダメージが大きいですが、命はお金には返られません。お金のことは考えず、客観的に判断してツアーに参加するかキャンセルするか、判断されると良いと思います。

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